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「誰か救ってくれ・・・!」国からも見捨てられたバイク大好きな若者の悲痛な叫び

「誰か救ってくれ・・・!」国からも見捨てられたバイク大好きな若者の悲痛な叫び
ライター名
バイク比較 (ばいくひかく)
バイク比較.com 編集長| ホンダ / NSR250R
バイク歴10年。今まで売ったバイクは10台以上。事故歴3回。バイク比較.comのコンテンツを制作している。修理が趣味で、休日はガレージから出てこない。2児の父。焦げ付いたスパークプラグが宝物。

ーー「この先、バイク業界は本当に大丈夫なのか?」

私が初めてバイクに乗ったのは大学生の頃。大学が京都の山奥にあり、家からも最寄りの駅からも遠かったので原付を買うことにした。

自分がバイク好きになったのは、大学時代の親友がバイクに乗っていたから。親友はカワサキのエストレヤというバイクに乗っていて、見た目もエンジン音も自分のもろタイプだった。

バイク会社に入ってから教習所に通い、最初のボーナスをはたいてカワサキのエストレヤを買った。

やっぱりバイクは乗ってみると楽しいもので、ただ道路を走っているだけなのに晴れやかな気分になるし、小さな悩みなんかも運転中は忘れてしまう。

バイク楽しい。最高だ。心からそう思っている。

ただ、気になることもある。

ーー「この先、バイク業界は本当に大丈夫なのか?」

2020年には国内のバイク販売台数年間100万台を目標に、と経済産業省は言っていた。

しかし、2016年度における国内のバイク販売台数は40万台にすら届いていない。

ーー「本気で達成できると思っているのか?」

ーー「本気で達成したいと思っているのか?」

このままいくとバイクに乗る若者はどんどん減っていき、リターンライダーと呼ばれる年齢層が高い人たちしかバイクに乗らなくなる。

今回の記事を通して、バイク業界の悲惨さを一人でも多くの人に知ってもらいたい。

バイク業界が直面する「3つの現実」

現実① バイクの保有台数・販売台数が年々減少傾向

自動二輪の保有台数と新車販売台数の推移

まず、バイク業界の現状について触れていく。

国内でのバイク人口は約1千万人なので、日本人の10人に1人がバイクを持っている計算になる。

ここ数年のバイク保有台数の推移を見てみると前年対比で2%ずつ減少しているのだ。

というより、直近10年間で保有台数が前年対比でプラスになっていないことも驚きである。

また、バイクの国内販売台数も右肩下がりで減少している。

ここ十年を振り返っても、2014年以降は前年対比で一度もプラスになっていない

経済産業省の掲げた「2020年までに販売台数を100万台に・・・」という目標は、現実的にも達成は非常に困難である。

「バイクブーム」はなぜ終わったのか?

1980年台には「バイクブーム」と呼ばれた時代があり、年間で300万台以上のバイクが売れていた。

しかし、バイクブームに伴って暴走族やバイク事故が増えてくるようになり、そこから「3ない運動」が生まれた。

マナーの悪いバイク乗りのせいで、世間がバイクに対して批判的な考えを持っていることは間違いない。

彼らのせいで、日本には「バイク」=「悪」という文化が根付いてしまっているのだ。

※「3ない運動」
「免許を取らせない」、「買わせない」、「運転させない」をスローガンとした日本の社会的な運動。

現実② バイクメーカーも軒並み減収

国産バイクメーカー4社の売上額

バイクを持つ人、バイクを買う人が少なくなれば、もちろんメーカーや販売店にもダメージがある。

バイクメーカー最大手のホンダだけでなくヤマハ、カワサキ、スズキという「バイクメーカートップ4」のすべてが、2016年度において年間売上額で前年対比を割っている。

かつてホンダとヤマハは「HY戦争」と呼ばれるほどの熾烈なシェア争いをしてきた。

しかし、昨年(2016年10月)には原付バイクの協業について業務提携契約を交わすことを発表。

もはや業界のトップ2が手を組まなくてはどうしようもできないという状況にバイク業界は追い込まれているといっても過言ではないのだ。

レッドバロンは黄色信号、バイク王は赤信号

レッドバロンとバイク王の合計売上額の推移

バイク販売最大手のレッドバロンとバイク買取最大手のバイク王の決算書も見てみた。

レッドバロンは2年連続で売上が前年比を割っており、バイク王に関しては2016年度で約4億円近い赤字が出ている。(これは本当にやばい)

現実③ 人気車種が次々と生産終了に

バイクの超人気車種が今年(2017年9月)から次々と生産終了を告げられている。

全180車種のラインナップのうち69車種が対象となったため、約38%もの車種が生産終了となってしまったのである。

新聞配達や郵便局員の人たちがよく乗っていて、壊れにくいバイクで評判を集めたスーパーカブですら生産終了となっている。

理由は主に、「排ガス規制」と呼ばれるものである。

バイクから出る排気ガスの量を減らすための規制が厳しくなり、基準に満たないバイクは問答無用で生産終了となってしまったのだ。

なぜ、ここまで落ちてしまったのか?

若いライダーを取り込めていない

バイクライダーの平均年齢のグラフ

引用:www.virginharley.com

バイクライダーの平均年齢は52歳と言われていて、ライダーの高齢化が問題視されている。バイク業界は、若者をうまく取り込めていない。

仮説ではあるが、今の若者達には「お金を出してまでバイクに乗る理由」がない

実は、新車バイクの車体価格そのものは、バイクブームと呼ばれた1980年台よりも今のほうが安い。

各バイクメーカーが「若者たちでもバイクが楽しめるように」と金銭的なハードルを下げようと以前よりもスペックを落として生産しているからである。

昔よりもバイクが安くなっているのに、昔のほうがバイクが売れていたなんて悲しすぎる現実である。

免許に「費用」「時間」がかかりすぎる

中型バイクの免許取得には、おおよそ10万円程度かかる。

日本では大学生のうちに免許を取る人が多いのだが、自由に使えるお金を持っている大学生は多くない。

大学生の彼もしくは彼女らが「お金もないし、今は車の免許だけ取ればいいか」と考えてしまうのは当然である。

バイクライダーを増やそうとするならば、免許にかかる料金を安くするのが一番手っ取り早いと思うのは自分だけだろうか。

バイクの駐車場問題

2006年に「駐車場法」という法律が改正され、駐車違反の取締が強化され始めた。

これにあわせて、各自治体へバイク駐車場の整備促進が義務付けられたのだが、バイクの台数に見合った駐車場の数はまだまだ用意されているとは言い難い。

新規のバイク駐車場を作るとなると、土地の少ない都心部ではなかなか難しい。

既存の駐車場にバイク専用の駐車スペースを作ろうとすると、「バイクが倒れたときに車を傷つける可能性がある」「盗難のリスク」は無視できない。

家の駐車スペースを簡単にシェアできるようなサービスがあれば、今後流行っていくのではないだろうか。

国や政府は、バイク業界の衰退をどのように思っているのか?

バイク業界を明るくしようとおもったら、どうしても国の力に頼らざるをえない。

しかし国や政府は、バイク業界のこのような自体をどのように捉えているのだろうか?

そこで、「今から自分が国の方々に電話して、色々と聞いてやろう」と試みた(が、この時期はちょうど第48回衆院選の真っ只中で、秘書は出払ってばかりだった)。

そのため、ネット上で公開されている情報を元に、国が掲げている「目標」と「進捗」について調べてみた。

国が掲げた3つの「目標」とは?

バイク産業が目指す姿

引用:www.bikeloveforum.jp

国が二輪車産業の成長戦略として掲げた目標(ロードマップ)は、上の通りである。

それに対する「進捗」は?

つい先月(2017年9月)に開催された「バイク ラブ フォーラム」で、ある方はこのように語った。

「(販売台数10万台という目標について)ハードルは非常に高いが、目標は一つの思いとして、100万台の目標を維持したまま、市場の活性化などを引き続き取り組んでいきたい」

いやいや、ハードルが高いことくらい昔からわかっていたはず。

想像していたとおり、全然進んでいなかったのである。

目標は一つの思いとして、ではなく、何が何でも達成するという気持ちを見せてくれないと。

ーー「高速道路の料金体系を改正してほしい」

ーー「バイク免許の料金を安くしてほしい」

昔からずっと上がっているライダー達の声は、果たしていつになったら届くのだろうか。

バイク業界に残されたかすかな希望

モーターサイクルショーの来場者数も増加傾向にある

モーターサイクルショー

引用:response.jp

これは年に1度開催される、国内最大の二輪の展示会であるモーターサイクルショーの様子である。

バイクの保有台数や新車販売台数が減少傾向にある一方で、実はモーターサイクルショーの来場者数は2012年以降増加傾向なのだ。

なぜモーターサイクルショーへの来場者数は今増えているのか?

バイクの新車販売台数の推移を排気量別で見てみると、原付の販売台数は大きく下がっているものの、中型~大型バイクの販売台数は増加傾向にある。

すなわち、通勤や通学利用の原付が売れなくなってきている一方で、中型~大型バイクを購入するコアユーザーの層は増えてきているのだ。

バイクは昔のようのに移動手段としてではなく、人生を彩るファッションとして変化しつつあるのだ。

レンタルバイクの利用者が年々増加傾向にある

バイクを購入する人が減ってきている一方で、バイクをレンタルする人が増えてきている。

また、「レンタル819」(株式会社キズキ)というレンタルバイクサービス利用者の平均年齢は37歳で、現在のバイクライダーの平均年齢よりも10歳以上若いのである。(もちろん私も利用したことがある。)

「バイクを買う前に乗り心地を試してみたい」「いろんなバイクに乗ってみたい」というバイクライダーも非常に多く、バイクの購入を前に迷っている人達をうまく取り込んでいるサービスと言えるだろう。

さらには、月額で月2~3回乗れる「マイガレ倶楽部」というサービスも展開しており、気楽にいつでもバイクをレンタルできる環境が作られているところも、ライダーにとって非常に魅力的だ。

復興庁も東北地方へのツーリングをプロモーションしている

龍泉洞の画像

引用:www.rental819.com

また、東日本大震災が発生した後から、復興庁が被災地へのバイクツーリングをプロモーションしていることはあまり知られていないだろう。

東北地方には日本三景と知られる松島(宮城県)、千と千尋の神隠しのモデルになったとも言われる銀山温泉(山形県)など有数なツーリングスポットがたくさんあるのだ。

「レンタル819」を復興庁がバックアップしていることもあり、レンタルバイクのますますの普及が楽しみである。

海外で流行の電動バイク、日本でもそろそろか

glafitの電動バイク

出典:www.tainavi-switch.com

海外ではすでに流行っている電動バイクも日本で徐々に流行の兆しを見せている。

「株式会社UPQ」や「glafit」など様々な会社が電動バイクの開発に力を入れ始めており、近いうちに日本でも電動バイクブームが巻き起こるかもしれない。

なぜ日本で電動バイクは流行っていないのか?

現在、日本で電動バイクが流行っていないのは日本の保安基準の厳しいからである。

海外では電動バイクは自転車扱いだが、日本では原付扱いになる。

すなわち日本で電動バイクに乗るためにはヘルメットやナンバープレートが必須となる。

新しい電動バイクの開発と同時に、日本の規制がどのように変わっていくのかが今後の注目ポイントである。

まとめ

僕は仕事の関係上、バイク業界を盛り上げたいと本気で考えて苦しんでいる人達にたくさん出会ってきた。

ーー「これをやれば必ず業界が再生する」

こんな打ち手があれば簡単だが、そんなに現実は甘くない。

コツコツとやれることをやって積み上げていくしかない。

まずは政府。まず高速料金を下げてくれ。そして免許制度をかえて色んな人が気軽にバイクに乗れるように工夫してくれ。

そしてバイク業界。売ることばかり考えないで、潜在層にバイクの魅力を伝える努力をしてほしい。バイクに興味がある人はたくさんいるんだ。

最後にバイクを愛する人達。バイクが好きなら、バイクの評判を落とすようなことはやめて、道行く人が感動するような魅せるライダーになってくれ。

もちろん、私が今いる会社でも本気でバイク業界を盛り上げようと考えている。

そしてつい最近、その第一歩としてあるサービスをリリースした。

「バイク駐車場」アプリだ。

切符を切られて何人がバイクから降りたか計り知れない。

これが解決したら次は「ツーリング」をサポートできるようなアプリを開発して、もっとバイクでできる楽しみを増やして行く予定だ。